みなさんは米国高配当ETF「VYM」について理解できていますか?
この記事では、VYMの内容と特徴について、初心者の方向けに解説をしています。
この記事はVYMの基本的な情報を網羅しています。この記事を読むことでVYMに関する基礎はほとんど学ぶことができます。
投資では正しい理解が正しく資産を増やしてくれます。投資を始める前に必ず知識を身に付けましょう。
この記事の要点は以下です。
VYMとは?【基礎知識】
VYMは、アメリカ全体の中で平均以上の配当利回りの企業400社の株から構成されたETFです。
下の表にVYMの基本的な情報をまとめています。
名称 | バンガード・米国高配当株式ETF Vanguard High Dividend Yield ETF |
運用会社 | Vanguard社 |
設立日 | 2016/11/16 |
ベンチマーク | FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス FTSE High Dividend Yield Index |
銘柄数 | 400 |
経費率 | 0.06% |
純資産 | 約507億USD 2023/01/27現在 |
VYMの正式名称は「Vanguard High Dividend Yield ETF」です。
アメリカ全体の中で「平均以上の配当利回りの400社」に「時価総額加重平均」で分散されたFTSEハイディビデンド・イールド・インデックスに連動します。
VYMに投資をすることでアメリカ全体の配当利回りが高い400社に分散して投資が出来ます。
VYMの内容【セクター・銘柄】
VYMの中身について、構成セクターと構成銘柄に分けて解説します。
構成セクター
VYMを構成する銘柄のセクター(業種)割合は以下のようになっています。

金融・ヘルスケアセクターが多く、通信・素材セクターが少ないですが、全体的に偏りは少なく、分散できています。
構成銘柄
続いて、VYMの構成銘柄について説明します。
下の表は、VYMの構成銘柄TOP10を示しています。
No. | 構成銘柄 | セクター | 割合 |
1 | ジョンソン&ジョンソン | ヘルスケア | 3.28% |
2 | エクソンモービル | エネルギー | 3.21% |
3 | JPモルガン | 金融 | 2.76% |
4 | P&G | 生活必需品 | 2.52% |
5 | シェブロン | エネルギー | 2.45% |
6 | ホームデポ | 一般消費財 | 2.30% |
7 | イーライリリー | ヘルスケア | 2.17% |
8 | ファイザー | ヘルスケア | 2.04% |
9 | アッヴィ | ヘルスケア | 2.01% |
10 | メルク | ヘルスケア | 1.98% |
保有割合TOP10は、アメリカを代表する超大企業ばかりです。これはVYMが時価加重平均という方法で保有割合を決めているからです。
それでもVYMは構成銘柄が400と非常に多いため、保有割合は多くても1銘柄3%ほど。VYMが非常に分散度合いが高いETFということが分かります。
VYMの構成銘柄の入れ替え(リバランス)は年に1回行われます。

セクター・銘柄が分散出来ているほど、損失のリスクは小さくなります。高い分散性はVYMの大きなメリットです。
VYMの配当金【配当利回り・増配】
次はVYMの配当金について、配当金の重要な指標である「配当利回り」と「増配」の2つに分けて紹介します。
下のグラフはVYMの過去10年間(2013~2022年)の実績です。このグラフを元に解説をしていきます。

配当利回り
まずは配当利回りについてです。

VYMの2022年の配当利回りは2.90%でした。
また、過去10年の平均配当利回りは3.23%で、2.9~3.6%の範囲を推移していることが分かります。
3%代前半の配当利回りは、低くはないものの、高配当株としては少し物足りない数字です。配当利回りでは、その他の米国高配当ETF「HDV」「SPYD」に劣ります。
⇒【2023年最新】VYM/HDV/SPYDを徹底比較【米国高配当ETF】

個人的に高配当株投資で配当利回りの目安は4%だと考えています。VYMは4%には少し届いていませんね。
増配
次は増配(配当金の増加)についてです。

VYMの2022年の配当金は3.25ドルでした。
VYMは過去10年間、毎年増配していて、配当金は10年間で約1.9倍に成長しています。
VYMの増配による配当金の安定感と成長性は非常に高いです。この点では、HDVやSPYDに勝っています。

増配を続けていけば、実質の配当利回りは上がっていきます。増配の安定感はVYMの最大の魅力です。
受け取り時期
VYMは配当金を年4回に分けて分配しています。分配時期は毎年3・6・9・12月です。
2023年の権利落ち日*は以下の通りです。
*配当を受け取る権利がなくなる日のこと。この日にVYMを持っていれば配当が受け取れる。
VYMの株価【成長・下落】
次にVYMの株価について説明します。
ここでは、株価の成長性と不景気時の下落に分けて、株価の動きを解説します。
株価の成長性
まずは株価の成長性についてです。
下のチャートは過去10年間(2013~2022年)の株価推移です。
VYMの他に、VTIは市場平均の、HDVは他の高配当ETFの参考として示しています。
※SPYDは2015年に作られており10年間の比較が出来ないため、含めていません。

VYMの過去10年間の株価推移は+112%でした。対して、VTIは+164%、HDVは+70%でした。
この結果からVYMは市場平均には劣るものの、他の高配当ETFよりも成長性が高いことが分かります。
高配当銘柄は成熟した企業が多いですが、VYMは中・小型株も含まれるため、成長もある程度期待することが出来ます。

近年は米国株が好調だったので市場平均が非常に高いです。高配当ETFの中では、VYMは市場平均に近い値動きをしていますね。
不景気時の下落
続いて、不景気時の下落についてです。景気が悪く、全体的な下落相場のときの値動きを紹介します。
下のチャートは2022年の株価推移です。
VYMの他に、VTIを市場平均の、HDV・SPYDを他の高配当ETFとして示しています。

VYMの2022年の株価推移は-4.10%でした。対して、VTIは-21.63%、HDVは+2.39%、SPYDは-6.37%でした。
この結果から、VYMは不景気時に市場平均を大きく上回り、他の高配当ETFと比較すると下落は中程度であることが分かります。
高配当ETFは下落相場では強さを発揮します。中でもHDVの安定感は非常に高いです。
⇒【2023年最新】VYM/HDV/SPYDを徹底比較【米国高配当ETF】

2022年の米国株は利上げが原因で下落相場でした。しかし、高収益・好財務な高配当株のメリットによって、高配当ETFは大健闘しました。
VYMのトータルリターン【配当金+株価上昇】
次にVYMのトータルリターンについて紹介します。
トータルリターンとは、配当金と株価を合計したリターンのことです。貰った配当金を投資に回したときの値動きを示します。
下の2つのチャートは①過去10年間(2013~2022年)のトータルリターン、②2022年のトータルリターンを示しています。
※SPYDは2015年に作られており10年間の比較が出来ないため、過去10年間のチャートには含めていません。

VYMの過去10年間のトータルリターンは+190%でした。対して、VTIは+218%、HDVは+143%でした。
高い配当によって、トータルリターンは株価のみよりも市場平均に近い高さになっています。

高配当株投資の最大のメリットは、配当金によって「今の生活を豊かにする」ことが出来ることです。その分、トータルリターンではインデックス投資に劣ってしまいます。

VYMの2022年のトータルリターンは-1.08%でした。
高い配当によって株価の下落分をカバーしており、市場平均と大きな差が付いています。

高配当株は全体的に株価が下がる時に非常に強いです。2022年は高配当株投資の良さが存分に発揮されましたね。
VYMの特徴まとめ【メリット・デメリット】
これまで紹介した情報を元に、VYMの主な特徴をまとめました。
400銘柄から構成されており、リスク分散度が高い
VYMは非常にリスク分散度が高く、暴落のリスクが低い高配当ETFです。
理由は、構成銘柄数が400と非常に多いからです。
⇒VYMの内容【セクター・銘柄】
個別に400銘柄に投資するには大量にお金が必要になりますが、VYMは1銘柄でその分散性を実現できます。
VYMは、投資のリスクが怖い投資初心者の方も十分オススメできる、投資する価値のある高配当ETFです。

投資のリスクはゼロには出来ません。ただ、個人的にはVYMは期待リターンに対して、リスクは十分小さいと考えています。
配当利回りを低さを増配でカバーできる
VYMは配当利回りの低さをカバーできるほどの増配が期待されます。
VYMは、配当利回りは少し物足りない一方で、増配による配当金の成長が大きいという特徴があります。
⇒VYMの配当【配当利回り・増配】より
今後も安定して増配することが出来れば、利回りの低さと言うデメリットは簡単にカバー出来るでしょう。
今の利回りだけを見るとHDVやSPYDに劣るように感じますが、増配のメリットの大きさからVYMも投資の価値がある高配当ETFです。

増配を続けば、保有期間が長くなるほど配当利回りが上昇していきます。つまり、VYMは長期保有に向いた高配当ETFです。
ある程度の株価上昇が期待できる
VYMは配当金をもらいつつ、ある程度の株価上昇を期待することができます。
好調時の市場平均には劣るものの、VYMは高配当ETFの中では株価の成長性が最も高いです。
⇒VYMの株価【成長・下落】より
高配当株は保有し続けて配当を受け取るのが基本ですが、株価が大きく上昇すれば売却益を得る選択肢もあります。
VYMは配当金と株価成長による安定したパフォーマンスが期待できるので、積み立て投資もオススメです。

VYMは中・小型株も含むため、高配当ETFの中ではインデックス投資に近い特性があります。高配当ETFのスタートとして最適です。
経費率が0.06%と超低水準
VYMは運用にかかる経費率が0.06%と非常に安いです。
投資において手数料を最大限小さくすることは非常に重要です。0.1%や0.01%の違いが、何十年後かには大きな差となります。
経費率が安いのは、VYMが三大運用会社の1つ Vanguard社が運用する巨大ファンドだからです。大きなファンドは手数料を安くなります。
経費率の観点ではVYMは超優良ファンドであり、強くオススメできる投資先です。

経費率が低いほど、規模が大きく信頼できるファンドです。初心者のうちは経費率0.10%以下のファンドを選ぶことをオススメします。
VYMへの投資を検討すべき人
VYMの特徴を踏まえて、VYMに投資すべき人を紹介します。
個人的な考えも含まれていますが、一つの意見として参考にしていただけたらと思います。

私も実際にVYMに投資中です。非常に優良なETFなので、ご自身の投資方針に合えば投資する価値は十分にあると思います。
VYMへの投資にオススメの証券会社

よし、VYMに投資してみよう!
そう決意したあなたに、VYMを売買できるオススメの証券会社を紹介します。
まだ口座を開設していない方はまずは口座開設から始めていきましょう。

ネット証券の口座開設は5~10分で申請が出来ます。まずは気軽に口座開設をしてみましょう。
ちなみに、ETFは1株が購入の最小単位です。VYMであれば、2023/02/12現在で1株約14,410円(1株$110、1$=131円換算)です。
リアルタイムのVYM1株の価格は↑の2つの数字を掛けることで計算できますので、参考にしてください。
まとめ:VYMは配当・増配・成長を兼ね備えたETF
この記事ではVYMの内容と特徴について解説しました。
VYMは高配当と連続増配、高い成長性を兼ね備えた優良ETFです。安定したパフォーマンスが期待できるため、投資初心者の方にもオススメです。
VYMや他の高配当ETFへの投資に興味を持った方で、証券口座を解説していない方がいれば、口座開設から始めましょう。
投資をするかどうか決めていない方でも、口座開設だけはしておいた方が良いです。
証券口座をとりあえずでも持っておけば、思い立ったときに投資がスタートできます。

新しい行動を起こそうという気持ちは長くは続きません。投資も思い立ったときにすぐ始められる準備をしておきましょう。
また、他にも米国ETFについての紹介記事や比較記事がありますので、是非読んでみてください。

